川柳の上達法 ㉖ 川柳の推敲力

 

 

  1、推敲力

 

      一句を生み出した時に、生みっぱなしにしてはいないだろうか。時間を置いて、ちょっと見直してみる

      と、未だより良い一句に生まれ変わる要素が秘められているかも知れないのに。

 

     確かに、時間に追われての作句だと思うのだが、推敲をしないということは、もったいない気がする。

     推敲によって必ずしも一句が良くなるか否かは、作者の力量や川柳歴、感性によることが多いので

     あろうが、見直してみるという姿勢が大切なのだと考えている。   

      推敲で気をつけることは、あれこれといじり過ぎるのではなく、定型となっているか、リズム感はいい

      か、句の姿はなどとちょっと視点を変えて見ることが必要なのである。川柳は一呼吸の詩形である

      から、一気に吐いてそのままのほうが良い場合も多いので、訴える力が殺がれてしまわないように

      気をつける必要がある。

     僕も推敲をしているのかと問われると、あまりしていないと言わざるを得ない。だが、一句を吐き出

     す時に、頭の中で推敲していることに気がつく。作句帳に書き出す前に、頭の中で文字の組み替

     えを行い、よしと思った時に文字化をしている。イメージから文字化への過程で、推敲をしているの

     である。

     一日一句を作る時も、書斎や歩きながら、電車や交差点などで句を生み出している。だから、あま

     り作句に時間をかけているとはいえない。まさに、一気に吐き出す方なのかも知れない。

 

  一日一句より 原句、〇推敲句

         □人間の裏を笑って虫眼鏡

         〇にんげんの裏をわらって虫メガネ

         □刻まれた垢を流して湯と緑

         〇刻まれた垢を流して湯と縁

         □日没を知らぬ地下街は夏の彩

         〇日没を知らぬチカホは夏の彩

         □雪虫が儚く舞って風雪史

         〇雪虫がはかなく舞って風雪史

         □幸福を詰め込む欲とレジのカゴ

         〇幸福と欲を詰め込むレジのカゴ

 

  課題吟より  原句、〇推敲句

         □笹舟の歴史だ波を越す絆

         〇笹舟の旅だ波頭を越す絆

         □東京がなんだ雑草地の怒り

         〇札幌がなんだ雑草地の怒り

         □温室の旬を四季感くるわせる

         〇温室の旬が狂わす四季の味

         □過疎を食べふくらむ都会けす絆

         〇村を食べふくらむビルが消す絆

         □貪欲に生きるカラスがあざ笑う

         〇貪欲に生きるカラスが嘲笑う

 

     原句と推敲句とにどれほどの差があるのか、微妙なので優劣は付けづらいのかも知れない。

     人間とにんげん、地下街とチカホ、歴史と旅、波と波頭、東京と札幌、旬を四季感と旬が狂わす、

     過疎と村、都会とビル、などの言葉を変えることによって、一句は良くなったのであろうか。

     僕としては、訴える力が増し、推敲の価値があったのでは、と思っている。

     雑詠吟とは違って、課題吟の場合は選者の目を通した上での評価なので、難問ではある。しかし、

     推敲力を高めることは大切な要因となるので自認したい。