2024年1月号

 巻頭言

    「庚辰」

 

     新年あけましておめでとうございます。皆さまにはお元気で、輝かしい新春をお迎え

   のこととお喜び申し上げます。

    今年の干支は庚辰(かのえたつ)の年に当たります。庚辰という言葉には「立ち上が

   る」という意味があり、新たなスタートを切るのに良い年とされています。

    札幌川柳社も新体制になって2年目を迎えます。1年目のスタートの年は、青柳副会長

   の突然の死去など予期せぬ出来事、「まさか」が多かったように思います。

    「辰」は十二支の中で唯一の架空の生き物、龍を意味します。水や海の神として祀られ

   てきた龍は、竜巻や雷などの自然現象を起こす大自然の躍動を象徴するものであり、「龍

   が現れるとめでたいことが起こる」と伝えられてきました。庚辰の年、皆さんにとりまし

   て、夢と希望のある素晴らしい年となりますよう祈っています。札幌川柳社も「龍の如く

   猛々しく、あたらしいことに挑戦する」年にしたいものです。

    1月14日(日)には、ファミリーのつどいが開催されます。今年一年の健康とさらな

   る飛躍を願い、楽しい辰年の幕開けといたしましょう!

 

         初春に集う笑顔の顔と顔  佐藤 芳行

 

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    【あかしや集】:岡崎  守 選

 

    ・絵馬にかく平和の願い空に舞う     岡崎 光子 ・・・ 特選句

    ・静寂の鼓膜脈打つ初日の出       東  考矢 ・・・ 秀 句

    ・鏡餅プラスチックなお正月       宇佐美愼一      〃

    ・昇天は竜に任せて白寿まで       山本 貞子      〃

    ・絵手紙の赤いりんごが落ちて冬     菅原 利助      〃

    ・大切なものが見えないペンの飢え    柴田加奈子      〃

    ・ひび割れたかおにひまわり植えている  梶川 智志      〃

 

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      【ぽぷら集】:松本 淳子 選

 

     ・母の歳越えるつもりと四股を踏む   出雲恵美子 ・・・ 特選句

     ・溺れても先祖はシャケだしたっけね  浜田  惠 ・・・ 秀 句

     ・聞く耳を持つとわたしが透けてくる  石出 栄光      〃

     ・流氷は定期便だが島はこず      木下 昭夫      〃

     ・たらればの思いに揺れる曲がり角   亀貝えみこ      〃

     ・鰊漬け待ってる子らの顔うかべ    小山 和子      〃

     ・手稲山静かに重く雪を着る      木下 宣子      〃      

  

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       【幌 都 集】:澤野優美子 選

      

      ・オンライン眉毛の位置が決まらない  田村のぶ江 ・・・ 金鈴抄

      ・飛べるまで思い出ひとつずつ捨てる  一家  汀      〃

      ・時重ねひと味違う老いレシピ     浜  正吉      〃

      ・妄想にプラスマイナスしたこたえ   高橋 節也      〃

      ・くり返す出会いと別れほほえんで   木村 彩弥      〃

      ・二つ三つ悔いを残して鐘を聞く    工藤 貞子 ・・・ 秀 句

      ・幸せはこの辺りかなとノックする   長谷たみ子      〃

      ・情趣あり古地図の旅に思いはせ    織田 直生      〃

      ・酔狂を小窓の月がくつがえす     宮下 雅年      〃