2023年4月号

 【巻頭言】

     「和を以て貴しとなす」

  

    「和を以て貴しとなす」この言葉は聖徳太子が制定した「十七条憲法」の中の一文で

    す。定年退職後、再就職した職場で、建築関係の職人が集まる「太子講」に出席する

    機会がありました。大工さんはじめ、鳶、左官、建具屋さんなど建築にかかわる職人

    仲間で聖徳太子を守護神として祀る行事でした。聖徳太子が寺院建築史上大きな存在

    であったことに由来しています。

     単なる「皆で仲良くしていこう」というものでなく、「議論を尽くして物事を決め

    ていき、それによって『調和を形成する』こと」を説いています。

     川柳の世界においても、伝統川柳から革新川柳、サラリーマン川柳など同じ川柳の

    ジャンルでも目指す方向が様々です。「和の精神」をもって、意見の違う様々な人た

    ちと話し合い・議論をすることができれば、成し遂げられないことは何一つない、と

    思います。

    「和を以て貴しとなす」の教えは「和の精神」の大切さを私たちに教えてくれていま

    す。札幌川柳社も、新体制になって3か月が過ぎようとしています。皆さんと力を合

    わせて未来へ向かって前進したいと考えていますので、よろしくお願いいたします!

 

        支え合う和の精神で未来絵図   佐藤 芳行     

 

    

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   【あかしや賞】:浪越 靖政 選

  

   ・絵馬たちの雑談を聴く大鳥居     柴田加奈子 ・・・ 特選句

   ・口紅が行方不明のまま春に      酒井 麗水 ・・・ 秀 句

   ・三叉路で足が止まった脳の錆     平向 玲子      〃

   ・ペン一本こころの滓を洗い出す    坂本さち子      〃

   ・モジリアーニの首になる起床時間   藤澤美津子      〃

   ・春の陽へ虫干しをするコロナうつ   高宮まゆ未      〃

   ・昨日の事も忘れているのに今日の夢  田栗 玲子      〃

 

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   【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選

 

   ・喜怒哀楽夫婦劇場まだ続く      長内 寿一 ・・・ 特選句

   ・いそいそと春の時計を買いにいく   宇佐美愼一 ・・・ 秀 句

   ・ゆったりと歳の数だけ笑い合う    羽生 良子      〃

   ・とっときの笑顔で彼を連れてくる   出雲恵美子      〃

   ・健康で白寿目指してアンビシャス   谷野 幸成      〃

   ・此の歳になれば分かると言った母   鎌田きよ子      〃

   ・あたたかなあなたの風と語る春    西嶋りょう子     〃

 

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     【幌 都 集】:落合 魯忠 選

  

   ・ごめんねと言われて独楽が回り出す  飯澤 理子 ・・・ 金鈴抄

   ・届けたい言葉が明日を光らせる    恵利 菊江      〃

   ・握力を鍛え女神の髪つかむ      田村のぶ江      〃

   ・やぼったいさらっと脱いで春を着る  織田 直生      〃

   ・神田川聞くと思い出よみがえる    桐澤都志子      〃

   ・若い振りまだ原色の赤が好き     亀貝えみ子 ・・・ 秀 句

   ・春風になってあなたを温める     高橋 節也      〃

   ・暖房節約まあるく猫になる      澁谷ノリ子      〃

   ・懸命に生きた証しのデスマスク    佐藤 園江      〃