2022年6月号

 巻頭言

    「蔵書じまい」

 

     四月に転居することになって、断捨離に大慌てとなってしまった。33年も住んだ

   一軒家からマンションへの引っ越しなので、大量に不要な物を投げ込まなければな

   らなくなってしまった。

    墓じまい、庭じまいは聞いていたのだが、蔵書じまいをすることになって唖然と

   なった。50年の川柳との付き合いで川柳の古い資料や、川柳誌、句集、参考文献、

   小説等が一階の書斎と二階の本棚にびっしりとなっていたのです。

    さて、片づけるとなると大変。北海道文学館と岩手の詩歌文学館に電話して、段

   ボール6箱ずつの引き取りをお願いしました。その他はブックオフに20箱引き取っ

   て貰い、1,900円の収入となりました。(悲しい笑い)

    川柳さっぽろ誌の創刊号からは貴重な資料なので手放す訳にはいきません。多量

   な本をごみに出しながら、川柳の資料館があったならばとしみじみ思いました。

    皆さんも同じ思いをする日が来ますので、考えていてください。

    自分にとっては大切な本であっても、子供たちにしてみれば価値のない物になり

   ます。カップやトロフィーや賞状を投げながら、自分の満足だけだったのかと思い

   知らされました。歴史は一枚の紙で足りるのかも知れませんね。

 

       ごみと化す蔵書じまいと叩く腰  岡崎  守

 

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    【あかしや集】:浪越 靖政 選

 

   ・来年も大雪だろか生きてるだろか    田中しげ子 ・・・ 特選句

   ・ポツンとデカンタ西日に所在なし    網谷  稜 ・・・ 秀 句

   ・灰になっても鏡を探す赤い櫛      藤澤美津子      〃

   ・背負いきたもの解き放つ花の空     酒井 麗水      〃

   ・さよならが下手で不視傷だらけ     柴田加奈子      〃

   ・食べて寝て泣いてリズムを整える    福栄 知舟      〃

   ・顔洗う今日一日が仮面劇        小澤 絹子      〃  

 

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     【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選

 

   ・北国の春へ緞帳あげて咲く       長内 寿一 ・・・ 特選句

   ・旅立ちの背なに決意の夢まとう     小山 和子 ・・・ 秀 句

   ・人生で背中押された言葉あり      高橋 正幸      〃

   ・微笑みが女神を呼んだカーリング    中津 遊水      〃

   ・恋の街リラの香りに偲ぶ人       髙島 克明      〃

   ・運動会大応援の桟敷席         村上 辰雄      〃

   ・目覚めても目をつぶっても君の顔    菊地 昌代      〃

 

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    【幌 都 集】:落合 魯忠 選

 

   ・私という種火で燃える夢がある     福島あけみ ・・・ 金鈴抄

   ・行き先をにおわせながら家出する    澁谷ノリ子      〃

   ・一本の釘がつらぬく正義感       惠利 菊江      〃

   ・この想いしまう引き出しありますか   西嶋りょう子     〃

   ・イマジンのうねり広く高くひとつ    飯澤 理子      〃

   ・〆切りは巣ごもりをして滑り込む    桐澤都志子 ・・・ 秀 句

   ・ジグソーを埋めてサプリの効き具合   田村のぶ江      〃

   ・エネルギー満載にして孫が来る     佐藤 園江      〃

   ・懐かしや呑むはバーボン聞くはジャズ  菅谷 小雀      〃