2022年4月号

巻頭言

   「添 削」

 

    川柳を始めた時から、必ず推敲をしなさい、と教えられました。でも、なかなか

   推敲をしないのが実情ではないでしょうか。

    生まれた一句は、推敲はしなくても大丈夫、と思ってしまうような気がします。

   それだけ頭の中で練ってから文字化するからでしょうか。でも実際は、字余りや字

   足らず、リズム感の悪さ、文字の間違い等がおきてしまいます。

    僕は推敲ではなく、添削をすべきだと思っています。添削は①句の粗を探す。

   ②意地の悪い目で見る。③他人の句だと思う。④良い句にしてやろうと考える。

   推敲とは違った視点で句を見なければ、添削できないからです。

    句会や講座で相当数の添削を毎月やっています。ですから意地が悪くなっていま

   す。その割りには自分の作品には甘く、没句を多産しています。添削とは、他人の

   詩文・答案などを、語句を添えたり削ったりして直すこと。結構頭を使う大変な作

   業なのです。

    あくまでも他人の句ですから、作者の句意を尊重しながらの作業となります。こ

   の気持ちを自分の作品に対しても持てるか、が重要となります。実行してみてくだ

   さい。柳誌を読んでも、他人の作品の粗が少しは見えてきますので。

 

      添削の脳は推敲とは異質  岡崎 守    

 

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  【あかしや集】:浪越 靖政 選 

 

  ・口紅を三色揃え春を待つ        菊地ひかり ・・・ 特選句

  ・回想と悔悟はすぐに手を結ぶ      吉井 迷歩 ・・・ 秀 句

  ・究極は水になれるか火になるか     藤澤美津子      〃

  ・秘めてきた思い一気に吐く椿      酒井 麗水      〃

  ・流れてみようからくれないのパレットに 福栄 知舟      〃

  ・歳月へゆるみだしてる蝶結び      川口まどか      〃

  ・モナリザはLLサイズかもしれぬ     梶原 百華      〃

  

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  【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選

  

  ・春のちからマンダラートを埋めていく  宇佐美愼一 ・・・ 特選句

  ・ワンランク上げたワインの祝い事    小山 和子 ・・・ 秀 句

  ・火も水もくぐって生きて来た手足    井上 サヨ      〃

  ・今年また旅立つ春へ水を差す      羽生 良子      〃

  ・愛着のパッチワークは母の作      東  考矢      〃

  ・春陽ざし思考回路をノックする     岡崎 光子      〃

  ・大ナマズ花粉症かもまた地震      相澤 重明      〃

 

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  【 幌 都 集 】:落合 魯忠 選

 

  ・行間にショスタコーヴィチ第5番    河野 潤々 ・・・ 金鈴抄

  ・空はがし哀しみはがし雪の降る     飯澤 理子      〃

  ・死んだ子の歳を数えてパンを焼く    佐藤 園江      〃

  ・未開封のこころちょっぴり抱いている  福島あけみ      〃

  ・雪舟がそこに居るよな雪景色      田村のぶ江      〃

  ・夢かたる瞳に惚れて現在地       西嶋りょう子 ・・ 秀 句

  ・カーテンコール拍手の渦にある妬み   亀貝えみ子      〃

  ・胸底に山河が生きて声かける      惠利 菊江      〃

  ・はやりにはのらないことにしてる耳   澁谷ノリ子      〃