巻頭言
「添 削」
川柳を始めた時から、必ず推敲をしなさい、と教えられました。でも、なかなか
推敲をしないのが実情ではないでしょうか。
生まれた一句は、推敲はしなくても大丈夫、と思ってしまうような気がします。
それだけ頭の中で練ってから文字化するからでしょうか。でも実際は、字余りや字
足らず、リズム感の悪さ、文字の間違い等がおきてしまいます。
僕は推敲ではなく、添削をすべきだと思っています。添削は①句の粗を探す。
②意地の悪い目で見る。③他人の句だと思う。④良い句にしてやろうと考える。
推敲とは違った視点で句を見なければ、添削できないからです。
句会や講座で相当数の添削を毎月やっています。ですから意地が悪くなっていま
す。その割りには自分の作品には甘く、没句を多産しています。添削とは、他人の
詩文・答案などを、語句を添えたり削ったりして直すこと。結構頭を使う大変な作
業なのです。
あくまでも他人の句ですから、作者の句意を尊重しながらの作業となります。こ
の気持ちを自分の作品に対しても持てるか、が重要となります。実行してみてくだ
さい。柳誌を読んでも、他人の作品の粗が少しは見えてきますので。
添削の脳は推敲とは異質 岡崎 守
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【あかしや集】:浪越 靖政 選
・口紅を三色揃え春を待つ 菊地ひかり ・・・ 特選句
・回想と悔悟はすぐに手を結ぶ 吉井 迷歩 ・・・ 秀 句
・究極は水になれるか火になるか 藤澤美津子 〃
・秘めてきた思い一気に吐く椿 酒井 麗水 〃
・流れてみようからくれないのパレットに 福栄 知舟 〃
・歳月へゆるみだしてる蝶結び 川口まどか 〃
・モナリザはLLサイズかもしれぬ 梶原 百華 〃
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【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選
・春のちからマンダラートを埋めていく 宇佐美愼一 ・・・ 特選句
・ワンランク上げたワインの祝い事 小山 和子 ・・・ 秀 句
・火も水もくぐって生きて来た手足 井上 サヨ 〃
・今年また旅立つ春へ水を差す 羽生 良子 〃
・愛着のパッチワークは母の作 東 考矢 〃
・春陽ざし思考回路をノックする 岡崎 光子 〃
・大ナマズ花粉症かもまた地震 相澤 重明 〃
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【 幌 都 集 】:落合 魯忠 選
・行間にショスタコーヴィチ第5番 河野 潤々 ・・・ 金鈴抄
・空はがし哀しみはがし雪の降る 飯澤 理子 〃
・死んだ子の歳を数えてパンを焼く 佐藤 園江 〃
・未開封のこころちょっぴり抱いている 福島あけみ 〃
・雪舟がそこに居るよな雪景色 田村のぶ江 〃
・夢かたる瞳に惚れて現在地 西嶋りょう子 ・・ 秀 句
・カーテンコール拍手の渦にある妬み 亀貝えみ子 〃
・胸底に山河が生きて声かける 惠利 菊江 〃
・はやりにはのらないことにしてる耳 澁谷ノリ子 〃