巻頭言
「笑 顔」
コロナ禍に翻弄されながら、１年が終ろうとしています。何時になったら終息す
るのだろうかと、世界中の人達が嘆息している姿が浮かびます。
マスクによって隠された素顔からは、笑顔が消え去り、沈鬱な表情が拡散されて
います。世の中が暗くなり、元気が無くなっているのを痛感させられます。
笑顔と笑い声の大切さを再認識させられ、それによって生かされていたのだ、と
今更ながらに実感しています。
それでも10月から句会が再開されて、元気な皆さんに会うことができるようにな
りました。会うこと、話し合うこと、作品を発表し感激を共有出来ること。久し振
りに句会の素晴らしさを味わい、川柳は人間なのだ、との思いを深く感じました。
日本中でどれだけのコロナ川柳が生まれ、体験や日常の変化が吐き出されたので
しょうか。この経験を契機として、新たな句会の手法や、川柳の時事性や、より深
い人間探求詩としての作品など、光明が見えて来るような気がします。
牛から虎への想いを馳せ、満開の笑顔の日が来ることを願いたいと思います。
笹舟で笑顔の海へ漕ぐ光 岡崎 守
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【あかしや集】：岡崎 守 選
・カステラの端切れのような母の愛 松本 淳子 ・・・ 特選句
・蕎麦がらの枕に母の声を聴く 石川 黎華 ・・・ 秀 句
・煙突は無理ですサンタメタボです 小野寺三陽 〃
・じっくりと充電終えて虎になる 川口まどか 〃
・路地裏の奥で噂は変異株 高宮まゆ未 〃
・脳トレも歩幅も忙し師走風 浜中 道子 〃
・いつだって愛は奇形でややこしい 梶原 百華 〃
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【ぽ ぷ ら 集】：佐藤 芳行 選
・車椅子友のこころも押して行く 木下 宣子 ・・・ 特選句
・哲学の道になってく散歩道 遠藤 俊二 ・・・ 秀 句
・病歴と孫が自慢の同窓会 原田つとむ 〃
・大丈夫ご先祖様が付いている 橋本利恵子 〃
・誕生日ちょっとおしゃれにロゼワイン 山口 栄子 〃
・好物はなんてったってその笑顔 小杉山雅子 〃
・まだ翔べる絶景見たい八合目 石出 栄光 〃
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【 幌 都 集 】：落合 魯忠 選
・奔放というＢ面も持っている 福島あけみ ・・・ 金鈴抄
・激カラの後はサバンナの夕焼け 宇佐美愼一 〃
・自由を語り合う蟹が泡を吹く 河野 潤々 〃
・あの角を曲がるときっと母がいる 佐藤 園江 〃
・正義ってほんとは強いものですか 西嶋りょう子 〃
・喝采を浴びるリベンジのステージ 亀貝えみ子 ・・・ 秀 句
・ブランコがゆれた二人の物語 高嶋 克明 〃
・スパイスの効きすぎ食が狂い出す 米澤とよ子 〃
・乳房雲危険のサインでも見たい 桐澤都司子 〃