巻頭言
「 原 点 」
早いもので、僕の川柳歴も50年目に入りました。30歳で始めたのですが、挫折もなく９月
で79歳となり、好きだから続けてこられたのだと実感しています。
原点とは、物事の根拠・根源になる出発点、と書かれていますが、その原点を忘れてしまう
のが人間なのかもしれません。これまでの川柳との歩みの中で、５・７・５音の奥の深さや、
日本語の不可思議さに翻弄されながらの旅だったように感じています。
定型を守れ、言葉を大切に、自分の想いを、発想力を磨け、自分史として、等と叩き込まれ
続けた歳月だったと思っています。
川柳で人間を教えられ、川柳人から人生を学び、少しは川柳に恩返しの真似事ができている
のか、と自己満足しています。果てしのない道程ですから、余り頑張らないで柔らかに鞭を入
れたいと考えております。
地球と人間の現実を直視しながら、川柳眼を駆使して、作品を生み出し続けるのが使命だと
思っています。厳しい川柳界の現状と、多様化する文芸としての川柳を見詰めながら、原点を
忘れずに皆さんと歩みを続けたいと思います。
お互いに元気と若さを目標にしながら。
原点の一歩を模索すきな道 岡崎 守
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【あかしや集】：浪越 靖政 選
・百歳の内示のあとにコロナ危機 鷲谷 凡葉 ・・・ 特選句
・ステップの一段ごとの曼珠沙華 藤澤美津子 ・・・ 秀 句
・キャリーバッグ曳いてこの世の外れまで 酒井 麗水 〃
・桃の香をコーティングして置いてくる 世良田裕子 〃
・修復へ虹のかけらを集めてる 川口まどか 〃
・生かじり消化不良の仮分数 村形 茂 〃
・のどごしの良い話だが飲み込めぬ 菊地ひかり 〃
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【ぽぷら集】：佐藤 芳行 選
・片思いこころピンクに染めあげて 高橋かおり ・・・ 特選句
・悲しくて宇宙時間で思考する 折原 博美 ・・・ 秀 句
・最終章只ありがとう笑顔の日 中川 孝子 〃
・石段に汗をかきかき夏詣 淡路 獏 〃
・幸せの隅っこにある遠花火 菊地 昌代 〃
・露の世に出会った温い手と手と手 山本 貞子 〃
・パスワードさがすシニアの苦笑い 岡崎 光子 〃
・陽炎に束の間だった夏を追う 横堀由紀子 〃
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【幌 都 集】：鈴木 英雄 選
・鬱の字をばらし明日へと深呼吸 出雲恵美子 ・・・ 金鈴抄
・古希超える弛めたくない感受性 福田 正響 〃
・反戦歌ひとり静かに八月忌 澁谷ノリ子 〃
・虚と実と自由行き交う絵画展 羽生 良子 〃
・亡国のメディアと化したテレビジョン 久保田 寿 〃
・ディスタンスいい塩梅の老夫婦 小杉山雅子 ・・・ 秀 句
・手洗いが外科医のごとくうまくなり 織田 直生 〃
・人が好き密になれないもどかしさ 小山 和子 〃