2020年8月号

 巻頭言

   「川柳年鑑の意義」

   

    令和2年版(第41集)の北海道川柳年鑑が6月に刊行されました。

     刊行委員長の笹原子墨さんを始め、刊行委員会・編集スタッフの皆様のご尽力に感謝申し

    上げます。

     川柳年鑑の軌跡につきましては、北海道川柳連盟五十年史に岡嘉彦さんが執筆されており

    ますので、是非ともお読み下さい。

     今年の参加者は昨年より65名も減り、242名となりました。300名の参加がなければ、

    刊行の持続が難しくなりますので、皆様の参加をお願いいたします。

     年鑑の意義とは、歴史の流れを知り、自分の作品を遺し、参加者の作品と消息が分かり、

    川柳人同士の絆を深める場でもあります。私なんて、と思わず気楽に参加していただきたい

    と思います。その一人一人の小さな協力の輪が、北海道の川柳を支える大きな力となります

    ので。

     結社や柳誌の発行を持続させることは、大変に厳しい状況となっています。でも川柳文芸

    の素晴らしさを発信し、歴史を刻み続ける使命があります。歴史をバトンタッチするために

    も、ご尽力をお願いいたします。

     第42集が300名を超えることを願って。

 

          年間に自分史のこす一歩ずつ   岡崎  守

 

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 【あかしや集】:浪越 靖政 選

 

   ・日本史の一章となる時を生き     吉井 迷歩 ・・・ 特選句

   ・ひまわりが振り向く何か言いたげに  清水ひろ子 ・・・ 秀 句

   ・すべて過去一本の傘乾ききる     河野 麗花      〃

   ・霧の街4Bで描く影ふたつ      柴田加奈子      〃

   ・必然に今あなたとのめぐり逢い    岡本恵美子      〃

   ・ハッシュタグおろおろしてる鍋の蓋  川口まどか      〃

   ・プラスマイナス零になれない血の絆  藤澤美津子      〃   

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 【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選

 

   ・つまづいた石 哲学の貌をする    横堀由紀子 ・・・ 特選句

   ・出発の片道切符白い闇        東  考矢 ・・・ 秀 句

   ・残されたパズルの欠けらひとつ持ち  中川 孝子      〃

   ・許されるアダムもイブも神もなお   折原 博美      〃

   ・ショッキングピンクに人生染め直し  高橋かおり      〃

   ・紅少し差して厨にたつ至福      井上 サヨ      〃

   ・逢いに来た蛍をそっと手に灯す    山本 貞子      〃

   ・さち求め探す四つ葉のクローバー   番匠甚五郎      〃

 

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 【幌 都 集】:鈴木 英雄 選

 

   ・はっとするこんな近くに神がいた   石出 栄光 ・・・ 金鈴抄

   ・新緑で眼を洗う自粛明け       福島あけみ      〃

   ・夢いっぱい鞄に詰めていた若さ    亀貝えみ子      〃

   ・小さな幸集めて満ちる日の暮らし   出雲恵美子      〃

   ・うがい手洗い檄飛ばされて心病む   村上 辰雄      〃

   ・八月は風もないてる原爆忌      高嶋 克明 ・・・ 秀 句

   ・終章へほぐして行こうもつれ糸    山口 栄子      〃

   ・目で笑いマスクの中で我慢する    山之内美根子     〃