2020年2月号

巻頭言

  「句の老化」

 

     年齢とともに、句が老化していくように感じています。と感じるのは僕だけでしょうか。

   還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿、卒寿と歳の嵩が増えることによって、脳が老化して表現にも変化

  が生まれてくるのでしょうか。

   還暦と古希の時には余り意識はしなかったのですが、喜寿から傘寿へと向かうに従って、何となく

  老化を意識するようになってきたのです。

   “100歳までボケない101の方法” 白澤卓二著から引用してみます。健康長寿の第一歩は階段の上

  り下り、ひとくち30回は噛もう、自前の歯を持っている人はボケない、新聞を読み世界に関心を持

  つ、なんでもやってみようという精神、あきらめは老化のはじまり、いつまでも男と女、毎日コツコ

  ツ続けて習慣にしよう。

   さて、階段の上り下り、30回は噛み、歯は28本あり(親知らずを除く)、体操と水と酒は毎日続

  けています。と同時に川柳に追い駆けられています。100歳までの条件の少しは備えているのですが、

  句の老化を意識せざるを得ません。

   脳を膨らませて、好奇心を保ちながら、今の自分を詠うことが大切なのだ、と言い聞かせています。

   感性も発想力も鈍りますので、少しでも若い気力で句の老化を防ぎたいと思います。

 

         川柳で朗化で行こう100の道   岡崎 守

  

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【あかしや集】:浪越 靖政 選

 

     ・原点は伏せ字に父の忌はめぐり    高松 時子 ・・・ 特選句

   ・絆とや回転木馬の歩のこころ     中村 秀子 ・・・ 秀 句 

   ・レモン齧る少し弱気になった朝    菊地ひかり      〃

   ・ポジティブに鬼も味方に豆を煎る   大久保貴美子     〃

   ・雪穴を出ようと励むスクワット    酒井 麗水      〃

   ・あなたとわたし短くなった導火線   世良田裕子      〃

   ・帰り道まばたく星がけしかける    岡本恵美子      〃

  

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【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選

 

   ・「ありがとう」妻に感謝のラストパス   東  考矢 ・・・ 特選句

   ・歩み出す違う自分に会いたくて      山本 貞子 ・・・ 秀 句

   ・今だって僕のハートは可燃性       折原 博美      〃

       ・ひたむきに組んだスクラム ワンチーム  小関 虎風      〃

   ・八十路行くまだまだ盛ん好奇心      荒井 俊光      〃

   ・一番の干支の巡りで福まねく       井上 サヨ      〃

   ・熱燗で昔話に花咲かせ          菊地 昌代      〃

   ・夢の途中まだまだ好きがとまらない    高橋かおり      〃 

    

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【幌都集】:鈴木 英雄 選

   

   ・年重ね夢を重ねて今がある       佐藤 好勇 ・・・ 金鈴抄

   ・病床の夫アイラブユーと照れ      佐藤 園江      〃

   ・気の澱みがしゃがしゃ洗い今日は晴れ  羽生 良子      〃

   ・凍結路気になる足の骨密度       高嶋 克明      〃

   ・身の丈に潜む炎が暴れ出す       出雲恵美子      〃

   ・断捨離を終えて余生が軽くなり     山口 栄子 ・・・ 秀 句     

   ・ちょっぴりの賽銭欲を笑う神      長内 寿一      〃

   ・残高へ生きるシナリオ書きかえる    小山 和子      〃