巻頭言
「作品の評価」
各地の句会や、全道大会や全日本大会等では、毎年多くの作品が評価されています。そして、北海
道知事賞や文部科学大臣賞などが授与されています。
さて、作品の評価基準となると難しい一面を抱えています。評価とは、選者の持つ選句眼や川柳理
論によって決められます。平たく言いますと好き嫌いに結びつきます。共選の場合には、特に選者の
思考が顕著に現れます。選者の経験年数や、男性か女性かによっても差異が生まれてきます。逆に、
その差異があるからこそ、作者も挑戦する意欲が増すのかもしれません。
受賞した作品に対しての、読者側の評価も多種多様となります。それは作品を理解できるか否かの
問題です。その底には、柳歴や感性、作品が具象か抽象か等が含まれています。一読して理解できる
作品から、深みのある作品へと変化しているのも事実なのです。
趣味か文芸かの議論は、果てしなく続く問題です。楽しく川柳を、分かりやすい川柳を、老後に笑
いの川柳を、脳を活性化させるための川柳を、川柳で生き甲斐を、等を大切にしつつも、個人の期待
ことする文芸性を無視することも出来ないと思っています。評価する眼を養いましょう。
句の奥を探る階段のぼりつつ 岡崎 守
****************************************************************************
【あかしや集】:岡崎 守 選
・キャベツ割る北の女の腕っぷし 高宮まゆ未 ・・・特選句
・やっとなれた主役 敬老日です 柴田加奈子 ・・・秀 句
・消費税値上がり分は寝ていよう 加藤 民子 〃
・ぽつぽつと夢を植えこむ予定表 小原 金吾 〃
・マンネリになったようですどっこいしょ 清水ひろ子 〃
・豆の木をゆっくり登るつもりです 田村 三郎 〃
・背にふれて日溜まりのようですあなた 柏木 俊子 〃
****************************************************************************
【ぽぷら集】:鈴木 厚子 選
・生かされた命粗末にするもんか 荒井 俊光 ・・・特選句
・秋深しリスも爺も冬支度 片山 葉一 ・・・秀 句
・家路へと急ぐ背中を追う西陽 井上 サヨ 〃
・階段へ反抗してる膝小僧 山本 貞子 〃
・かぎられたいのちみまもりあたためて 菊地 昌代 〃
・アルフィーも陽水も聴く秋の午後 小澤 絹子 〃
・どう生きる 今更おそい祭あと 岩橋千代子 〃
****************************************************************************
【幌都集】:酒井 麗水 選
・秋の夜の写経の文字は楚楚となり 原田つとむ ・・・金鈴抄
・大凶を引いて右脳がさわがしい 福島あけみ 〃
・いい人を辞めて裸の僕になる 石出 栄光 〃
・ひらがなで届く碁敵の挑戦状 遠藤 俊二 〃
・飲みかけのワイン残して終わる恋 大坪 寒流 〃
・かき分けて先ゆく君の背がまぶし 高橋かおり ・・・秀 句
・断捨離と捨てた思い出光りだす 橋本利恵子 〃
・同期会加齢を華麗に恋自慢 長内 寿一 〃